栽培&精製ポリシー

  

当農園のコーヒー栽培は、農薬不使用、少耕起、少肥料による、

自然栽培に近いスタンスでおこなっています。

 

 

(農薬についての考え方)

 

当農園では「消毒、防虫等の化学的農薬」は使用していません。

 

現在のところ、沖縄におけるコーヒー栽培においては

諸外国のような致命的な被害をもたらす病害虫は発生しておりません。

そのため特に使う必要性自体もないと考えています。

 

もちろん、野鳥やバッタやカタツムリのチェリーの食害によって、

豆が育たなかったり、豆に腐食が増えることはあります。

 

そのため過去にごくわずかではありますが、当農園でも

カタツムリやバッタなど、コーヒーの葉や実を食害する

虫の予防のために、食酢と島唐辛子を水で希釈したものを

使ったことがあります。

 

しかしこの場合の「食酢」に関しても、

現行法律では厳密に言うと「農薬」と判断されてしまう

ことがあるそうです。

 

「酢は人が食べると健康食品で、畑に使うと農薬になる」

 

この矛盾は多くの農家たちが疑問に思っている所のようで…

 

一方で、日本国内の有機栽培の基準となっている、

JAS法の規格に適合している畑であっても、

農薬が一部使用できることになっているそうです。

 

食酢は農薬であり、有機栽培で化学的消毒が可能…という現実。

 

少なくとも私は大きな矛盾を感じずにはいられません。

 

このようにそもそも「農薬の定義」自体が曖昧で、

判断がとても難しいものだと理解している所です。

 

そのためなのか、現行法では「有機」の基準はありますが、

「無農薬」の基準はないようです。

 

そこで当農園では独自の判断にはなりますが、

「農薬不使用」という表現をしつつ、

あまりにカタツムリなどの食害がひどい時に限り、

下記の天然食材から作った忌避剤を使用することにしております。

 

当農園で使用する忌避剤は下記のみ。

 

・食酢と島唐辛子を水で希釈したもの

 (2018年以降はいっさい使っていません)

 

 

(肥料についての考え方)

 

自然栽培(無農薬、無肥料、不耕起)寄りの発想から、

ごく少量の有機系肥料を使用しています。

 

コーヒーの成育状況に応じて、

下記肥料を月に1回程度施肥します。

 

使用肥料、土壌改良材は、下記の通り。

 

コーヒーチェリーの皮

コーヒーかす(ドリップ後の焙煎コーヒー豆)

コーヒー生豆(虫食いなどの欠点があり使用できないものなど)

コーヒー豆(焙煎度合がそろわずはじかれた豆など)

米ぬか

油かす

ココピート(ヤシがら)

たい肥(牛、豚、鶏のミックス)

有機入り液肥「はっする」「はつらつ」(成分はカツオエキスなど)

枯草(落ち葉、雑草)

 

 

昨今、農薬には消費者のみなさんも敏感なのですが、

意外と見落とされているのが肥料の過剰投与です。

 

肥料の多い野菜は、実が大きく、見た目の色つやがとてもよかったりします。

でも一方ですぐに腐ってしまったり、味も苦味が強かったりして、

安心安全、美味しい、といったイメージとは異なる場合もあります。

 

一方で肥料の与えすぎは、農薬以上に健康を害する恐れもあるのです。

 

 

そのため当農園では、上記の有機系肥料を、

ごく少量与える形で、安全かつ、食物資源の循環にも配慮した

肥培管理を心がけていきたいと思っています。

 

 

(精製方法についての考え方)

 

一般家庭でも取組みやすい精製方法の確立を目指しています。

 

「沖縄県でコーヒーを自給自足する人を増やす」という

ミッションを達成すべく、高額な機械を使わずにできる

方法を模索しています。

 

 

(精製方法)

 

まだまだ発展途上で研究中ですが、現在は下記のような方法をとっております。

 

家庭でも行いやすいパルプドナチュラル方式

 

1 完熟したチェリーから手摘みで収穫

2 2~3日水につけておき、発酵の力をかりて皮を剥きやすくする

3 手回しの皮むき器(中国製パルパー)で皮をむき、未熟豆などを適宜選別

4 主に汚れを軽くとるために、ザルと水でゆすぎ洗う

5 主に室内で扇風機の風を当て続けて乾燥

6 パーチメント(殻)がむきやすくなってきた頃に、家庭用精米機で脱穀

 

以上

 

 

最後に

 

近い将来ブランド化が進むであろう、沖縄県産コーヒー。

 

一方で、私はそのブランド化によっておきる

デメリットへの配慮や対応も

必要ではないかと思うわけです。

 

例えば今後の沖縄県産コーヒーの高級化によって

 

「地元の人には手が届かなくて飲めない」

 

という状況が生まれたり、

栽培競争激化や劣化品の流通が生じたり、

飽和状態となり値段がつかず、収穫物が捨てられる…

などといった多くの生産国がたどった道を

進むことも予想されるからです。

 

残念ながら歴史的にコーヒーは

産地からの搾取によって成り立ってきた…

という負の側面も持つ作物です。

 

ですからできる限り今後はそうならないように、

沖縄の栽培農家さん自身が、

質や価格を適正にコントロールできるような、

環境づくりが大事ではないかと、

思っているところです。

 

自分たちで栽培、精製、焙煎、抽出を行い、

まずコーヒーの自給自足ができる状況を作ること。

 

その上で、

 

世界に通じるブランド化を目指す人がいて、

洗練された逸品を作る人がいて、

大衆化を目指す人もいて、

ホームメイドコーヒーを楽しむ人がいる…

 

そんな思い思いのコーヒーづくりを楽しむことができる、

地域のコーヒー駆け込み寺。

 

当店がそんな存在になれるよう、

これからも精進してまいります。

 

DONABE-COFFEE

船田 弘

 

(2020年8月文書修正)